脳梗塞のリハビリ施設の種類

脳梗塞後のリハビリを行う施設にはどんな種類があるのか、急性期・回復期・維持期に対応した施設、医療保険の期限を過ぎてからのリハビリ、維持期のリハビリに対応した施設などを解説します。

急性期のリハビリ施設

脳梗塞になった場合、まず急性期病院に運ばれることがほとんどです。
急性期病院では、急患や重症な病気に対応し、24時間体制で検査や処置、手術を行っている所もあり、リハビリも脳梗塞発症直後から開始し、廃用症候群の予防と離床、セルフケアの自立を目指します。病状が安定するまで起き上がれませんが、臥床が長くなると関節が硬くなったり、筋力が弱まるので、病床でのリハビリは欠かせませんし、発症後約3ヶ月ほどで回復が見込みにくい期間になってしまうので、できるだけ早期からリハビリをすることが重要です。

急性期から回復期、療養までの一貫して診療できる病院は限られており、病状が落ち着くと多くの方が急性期病院から転院をします。

回復期のリハビリ施設

医療提供の必要度が高い人が治療を続ける療養病棟や、集中的にリハビリを行う回復期リハビリテーション病棟に転院します。病院によりスタッフや重症患者さんの割合、治療目標、休日のリハビリの有無などが異なり、6段階の入院料があるので、それらの基準やリハビリの充実度などを確認し、患者さんに合ったリハビリを続けます。

ただし医療保険の入院日数には、廃用症候群(身体の不活動状態により生ずる二次的障害)リハビリで120日、脳血管疾患リハビリで150日、高次脳機能障害で180日までと制限があります。

維持期・生活期のリハビリ施設

 

維持期・生活期には、日常生活の質を上げるためにリハビリを続けます。朝起きて身支度をし、朝食をとる、歯を磨く、トイレに行く、入浴するなど日常の動作がリハビリの一環であり、通所・訪問リハビリを中心に、自費のリハビリ、療養病床群や老人保健施設、特別養護老人ホームでの入所リハビリなどが選べます。少しづつ行動範囲を広げて外出したり、地域の活動に参加して自分の役割を見出しましょう。また職業復帰について必要であれば障害者職業センターなどに相談することもできます。

医療保険利用の入院後は介護保険に

2019年4月から、要介護・要支援の認定を受けている人の維持期・生活期のリハビリは、医療保険から介護保険へ完全移行しました。ただし医師が「医療保険のリハビリ継続が必要」と判断した場合や「外傷性の肩関節腱板損傷」「高次脳機能障害」などの場合、医療保険のリハビリを続けることが可能な場合もあります。

医療保険のリハビリは、維持期(標準的算定日数経過後)には状態の改善が期待できない場合でも「1か月に13単位(約4.3時間)」まで保険から給付が行われます。

訪問・通所・施設入所

回復期以降は、介護保険を利用し自分のペースで訪問リハビリや交流が楽しめる通所リハビリを行ったり、充実した自費のリハビリ、長期療養が必要な場合は療養病床群や老人保健施設、特別養護老人ホームでの入所リハビリなど多くの選択肢があります。それぞれの特徴を理解し、患者さんの状態や目的に合わせて活用することが大切です。

まとめ

脳梗塞のリハビリを行う施設は、急性期・回復期・維持期それぞれに対応した施設があります。医療保険や介護保険の利用制限のほか、目的などを考慮して医師やソーシャルワーカーと相談し、適切な治療やリハビリが受けられる施設を選ぶことが大切です。

  • 医療保険…入院リハビリテーション(回復期リハビリテーション病棟など)
    外来リハビリテーション(通院でのリハビリ)
  • 医療・介護保険…訪問リハビリテーション・訪問看護ステーションなどの利用
  • 介護保険…介護老人保健施設への入所
    通所リハビリテーション