高次機能障害

高次機能の様々な症状

高次機能障害の種類

損傷を受けた脳の部位によってさまざまな症状が現れます。言語、行為、認知、記憶、注意、判断力などに症状をきたしますが、身体障害を伴わないので精神疾患と誤認される場合もあります。主な症状には、失語、失認、失行、注意障害、記憶障害、遂行機能障害などがあります。失語については「言語障害」で詳しく説明しています。

 

失認

視覚・聴覚・触覚なの感覚機能や意識・知能には障害がないのに、対象物を認識判断できなくなる状態を失認といいます。

  • 半側空間無視:障害された脳の反対側の空間を認識できない。右の梗塞による左半側空間無視が多く、症状も持続しやすい。半盲とは区別されます。
  • 視覚失認・聴覚失認・触覚失認:視たもの、聴いたもの、触っているものの対象物を正しく認識できない状態。
  • 身体失認:脳の障害部位の反対側もしくは両側で自分の身体を認識せず、注意が向かなくなる。身体部位失認、半側身体失認、病態失認、手指失認など

失行

学習された行為や動作が正しく行えなくなる状態をいいます。自分が行うべきことは分かっているのにそれをうまく行えません。

  • 観念運動性失行:習慣的動作ができなくなる。自発的な日常動作は支障なくできるが、他人から命じられた日常動作や模倣動作ができない。
  • 着衣失行:衣服の裏表や前後左右・上下の認識ができず、衣服の着脱がうまくできなくなる状態。
  • 肢節運動失行:手指、顔面、体幹、脚などを細かくスムーズに動かせなくなる( 巧緻性の低下)。運動拙劣症とも呼ばれる。

注意障害

注意を向ける対象の特定、持続、切り替えが困難となり周囲への無関心になったり、会話や動作が緩慢になったりする。二つ以上のことが同時にできなくなります。

記憶障害

記憶障害では、記銘・保持・想起のいずれかに障害を生じます。記銘の障害では新しいことが覚えられない前向性健忘が、想起の障害では発症以前のことが思い出せない逆行性継続が起こります。約束を忘れたり、物の置き場所を忘れたりします。

遂行機能障害

正しい順番で行動できなくなるので、作業が行き当たりばったりになってしまいます。人に指示してもらわないと何もできない。作業を持続できない。

医療機関や施設で行われる高次機能障害のリハビリ方法

高次機能障害のリハビリは、障害の評価・訓練、生活に応じたプログラム、職能訓練プログラムが三本柱となります。障害を正確に把握し、特に日常・社会生活上の問題になっているものに対して重点的にアプローチしていきます。

失行、失認、半側空間無視、記憶障害・リハビリの事例紹介

急性期には心理カウンセリング、薬物治療、外科的治療も含む医学的リハビリテーションが行われていきます。その後生活支援プログラムや就労移行支援プログラムによって、日常生活や職業において必要とされる動作や技能を獲得あるいは習得することに主眼が置かれていきます。

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※このページの参考文献
・『全部見える 脳・神経疾患~スーパービジュアル 徹底図解でまるごとわかる! 』 服部 光男 監修(成美堂出版) 2014年5月出版
・『よくわかる最新医学 新版 脳梗塞・脳出血・くも膜下出血』 高木誠著(株式会社主婦の友社)2018年5月出版
・『患者のための最新医学 脳梗塞・脳出血・くも膜下出血』高木誠著(高橋書店) 2015年9月出版

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おもな脳梗塞の後遺症と
リハビリの方法

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