運動障害(片麻痺)

運動障害の種類と特徴

運動麻痺とは

運動麻痺とは、大脳からの指令が筋肉に届かなくなることで随意的に体を動かせなくなる状態を指します。神経の障害が起こると骨格筋の収縮が困難になり、力が入らない、動かないなどの症状が現れます。右脳の障害で左半身に、左脳の障害で右半身に症状が出ます。

運動麻痺の種類

運動麻痺は麻痺の部位により、「単麻痺」「片麻痺」「対麻痺」「四肢麻痺」の4種類に分類されます。
  • 単麻痺:片側上肢または下肢のみの麻痺
  • 片麻痺:片側上下肢の麻痺
  • 対麻痺:両側下肢の麻痺
  • 四肢麻痺:両側上下肢の麻痺

運動障害のリハビリについて

急性期の運動麻痺のリハビリ

急性期のリハビリは、発症後早期から合併症や廃用症候群の予防、麻痺の回復促進などを目的として看護師や理学療法士などの専門職によってベッドサイドで行われています。安静臥床の期間をできるだけ短縮して早期の離床を図りますが、重症度や麻痺の進行具合、血圧の安定などを考慮して開始時期が決まります。発症から3週間ほどを急性期としています。

急性期のリハビリは、手足を正しい位置に保つ「良肢位保持」、床ずれ予防のための「体位変換」、関節の拘縮を予防・改善するための「関節可動域訓練」から始まります。その後、座位や立位の訓練、車いす移動と進めていきます。

回復期の運動麻痺のリハビリ

回復期のリハビリは、発症後1~6ヶ月を目安として、おもにリハビリ専門病院や回復期リハビリ病棟で行われ、日常生活動作に必要な機能の回復を図り、退院や自宅復帰に向けて行われています。立ち上がり訓練や歩行練習のほか、服や靴の着脱などの日常生活動作の練習をしていきます。

維持期の運動麻痺のリハビリ

維持期におけるリハビリは、在宅や通院・通所・訪問リハビリ、介護老人保健施設や療養型医療施設で行われています。回復期リハビリで回復・再獲得した機能を維持し・向上していくためのリハビリで、自立支援、社会参加、介護予防が大きな目的となります。生活環境を整えることも重要で、公的サービスを活用してリハビリを継続できるように援助することも考慮されます。

自分や家族でできる運動麻痺のリハビリ

起床したら着替えをし、生活にメリハリをつけ、自分のできることは自分でやる姿勢を持つことが大切です。家族は、「手は出しすぎず、目は話さず」の姿勢で見守ることで、日常生活動作を行うことがリハビリの継続となります。

運動麻痺・リハビリの事例紹介

麻痺がない側だけを使っていると、麻痺側が悪くなります。そこで麻痺側だけを使う「CI療法」があります。できるだけ麻痺側の手を使うことを意識して行うだけでも効果はありますが、療法士の指導を受けながら行うことで、より効率的に麻痺の改善を期待できます。

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※このページの参考文献
・『全部見える 脳・神経疾患~スーパービジュアル 徹底図解でまるごとわかる! 』 服部 光男 監修(成美堂出版) 2014年5月出版
・『よくわかる最新医学 新版 脳梗塞・脳出血・くも膜下出血』 高木誠著(株式会社主婦の友社)2018年5月出版
・『患者のための最新医学 脳梗塞・脳出血・くも膜下出血』高木誠著(高橋書店) 2015年9月出版

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おもな脳梗塞の後遺症と
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